購入前に押さえておきたい競売物件10のチェックポイント

競売リスク10 不動産情報

競売物件は、通常の不動産よりも安くマイホームを手に入れられる魅力的な方法ですが、購入前にしっかりとリスク管理をすることが極めて重要です。

「安さにつられて買ったら、想定以上に修繕費がかかった…」
「占有者の立ち退きがうまくいかず、住むまでに時間がかかった…」

こうした失敗を防ぐために、この記事では競売物件の購入で失敗しないためのチェックポイント10選を、実体験や専門家の知見を交えて解説します。


  1. ✅ チェックポイント①:三点セットを必ず熟読する
  2. ✅ チェックポイント②:占有者の有無と状況を確認する
  3. ✅ チェックポイント③:築年数だけでなく建物構造にも注目
  4. ✅ チェックポイント④:周辺環境の調査も忘れずに
  5. ✅ チェックポイント⑤:リフォーム費用の概算を立てる
  6. ✅ チェックポイント⑥:入札価格の相場を調べる
  7. ✅ チェックポイント⑦:登記や法的問題がないかを確認
  8. ✅ チェックポイント⑧:競売スケジュールと自分の都合をすり合わせる
  9. ✅ チェックポイント⑨:落札後の流れを事前にシミュレーション
  10. ✅ チェックポイント⑩:専門家のサポートを惜しまない
  11. 【まとめ】安さの裏にあるリスクを見抜け!
  12. 〜初心者向け行動ガイド〜
  13. 🗓 ステップ1:情報収集(〜入札2週間前)
    1. ✅ 実施内容
    2. 📝 ポイント
  14. 📦 ステップ2:入札価格の決定(〜入札1週間前)
    1. ✅ 今回の戦略
  15. ✍️ ステップ3:入札書の準備(入札1週間前〜3日前)
    1. ✅ 今回の想定提出物
  16. 🎯 ステップ4:開札日(入札締切の翌日)
  17. 💰 ステップ5:残代金の支払い(開札から30日以内)
    1. ✅ 支払い内容
  18. 🛠 ステップ6:物件引渡しとリフォーム開始(入札後1.5〜2ヶ月)
    1. ✅ 想定工事項目と費用
  19. 🎉 最終結果:トータルコストと満足度
  20. 📝 シミュレーションから学んだこと

✅ チェックポイント①:三点セットを必ず熟読する

競売物件では、以下の「三点セット」と呼ばれる書類が裁判所から公開されています。

  • 物件明細書:所有者情報、抵当権、借地権の有無など
  • 現況調査報告書:建物の劣化状況、ゴミの有無、占有状況など
  • 評価書:不動産鑑定士による市場価格、近隣相場との比較

🔍 ポイント:
専門用語が多いので、初めての場合は不動産業者や建築士に相談しながら読み解くのが安心です。


✅ チェックポイント②:占有者の有無と状況を確認する

競売物件の中には、前所有者や賃借人が住んだままのものがあります。これを「占有あり物件」といいます。

🛑 注意点:
落札後に退去をお願いする必要がありますが、法律上、無理やり追い出すことはできません。

💡 対応策:

  • 占有者が賃借人の場合は「賃貸借契約書」が残っているかを確認
  • 所有者居住中であれば明渡訴訟の可能性を見込む
  • 専門の司法書士・弁護士に相談する

✅ チェックポイント③:築年数だけでなく建物構造にも注目

築年数が古い物件ほど、修繕費がかかりやすくなりますが、それだけで判断するのは危険です。

🧱 構造別のチェックポイント:

構造チェックポイント
木造シロアリ・腐朽・傾きの有無
鉄骨造錆び・鉄筋の劣化
RC造ひび割れ・雨漏りの跡

建物の状態は、現況調査報告書の写真や記述から推測するしかないため、複数の物件を見て「目を養う」ことが大切です。


✅ チェックポイント④:周辺環境の調査も忘れずに

物件がいくら安くても、周辺環境が悪ければ住みにくさや資産価値低下のリスクがあります。

🚶‍♀️ 現地で確認するポイント:

  • 交通アクセス(最寄り駅、バス停の距離)
  • 生活施設(スーパー、病院、学校)
  • 治安や騒音
  • ハザードマップ上の危険度

Googleストリートビューや自治体のサイトも活用しましょう。


✅ チェックポイント⑤:リフォーム費用の概算を立てる

物件価格が安くても、リフォーム費用が高額になると意味がありません

🔨 事前に想定したい工事項目:

  • 屋根・外壁補修
  • キッチン・浴室などの水回り交換
  • 床や壁紙の張替え
  • 配管・電気系統の更新

📌 見積もり例:

  • 軽い内装リフォーム:約100~200万円
  • 水回り含む改修:約300~500万円
  • フルリノベーション:700万円以上も

プロによるホームインスペクション(建物診断)を活用すると正確な見積もりが出せます。


✅ チェックポイント⑥:入札価格の相場を調べる

競売物件では最低落札価格(売却基準価額)が設定されていますが、実際の落札価格は入札状況によって上下します。

📈 過去の落札事例の調べ方:

  • 「981.jp」などの競売情報サイトで地域・物件タイプを検索
  • 同様の築年数・広さ・立地の物件を参考にする

「落札されやすい価格帯」を把握することで、無理のない入札戦略が立てられます。


✅ チェックポイント⑦:登記や法的問題がないかを確認

以下のような法的トラブルがあると、思わぬ出費や手間が発生します。

⚖️ 要注意な登記・権利関係:

  • 抵当権が残っている(通常は競売で抹消されるが要確認)
  • 所有者以外の名義がある
  • 地代・借地権などが絡む

心配な場合は、登記簿謄本を法務局で取り、司法書士に相談しましょう。


✅ チェックポイント⑧:競売スケジュールと自分の都合をすり合わせる

競売は、入札から引渡しまでに1〜2ヶ月ほどかかるのが一般的です。
スケジュールに余裕を持たないと、仮住まいなどの手配が慌ただしくなります。

📅 競売の流れ:

  1. 情報公開
  2. 入札期間(約1週間)
  3. 開札日(落札者決定)
  4. 売却許可決定(約1週間)
  5. 残代金納付(30日以内)
  6. 引き渡し・占有解除・登記

仕事や引越し、学校の入学時期などとの兼ね合いを考えてスケジューリングを。


✅ チェックポイント⑨:落札後の流れを事前にシミュレーション

落札が決まった後は、支払い・登記・引き渡し・リフォーム…とやることが盛りだくさん。

🧩 チェックしておきたい準備:

  • 資金の用意(住宅ローンが使えない場合あり)
  • 名義変更(所有権移転登記)
  • リフォーム会社との打ち合わせ
  • ゴミ処分や設備確認

可能であれば、一連の流れを事前に「タイムライン」で見える化しておきましょう。


✅ チェックポイント⑩:専門家のサポートを惜しまない

競売物件の購入は、法的・建築的な知識が求められる場面が多く、独学だけでは限界があります

👥 頼れる専門家:

  • 不動産会社(競売に詳しい業者を選ぶ)
  • 建築士・ホームインスペクター
  • 司法書士・弁護士
  • リフォーム会社

「相談料がもったいない」と感じるかもしれませんが、大きな失敗を防ぐ保険と考えると安いものです。


【まとめ】安さの裏にあるリスクを見抜け!

競売物件は、確かに安く手に入る魅力がありますが、リスクを甘く見ると高くつく結果になってしまいます。

🔎 今回のチェックポイントを簡単に振り返ると…

  1. 三点セットの読み解き
  2. 占有者の確認
  3. 建物構造の見極め
  4. 周辺環境の調査
  5. リフォーム費用の想定
  6. 入札価格の相場確認
  7. 登記や法的問題の確認
  8. スケジュール調整
  9. 落札後のシミュレーション
  10. 専門家の力を借りること

この10項目を押さえておけば、競売物件のリスクは最小限に抑えられ、成功率がグッと上がります。

〜初心者向け行動ガイド〜

実際の競売入札を想定したシミュレーションを行い、具体的な流れや必要な準備、注意点を時系列でご紹介します。

今回シミュレーションに使った物件は、以下のような設定です。

  • 所在地:京都市南区某所
  • 種類:中古戸建て(木造2階建て)
  • 築年数:約28年
  • 床面積:約90㎡
  • 売却基準価額:780万円
  • 備考:占有者なし、現況空家、リフォーム要

三点セットを確認すると、軽微な雨漏り跡や給湯器の劣化などがあり、最低でも200万円程度のリフォームは必要と判断しました。


🗓 ステップ1:情報収集(〜入札2週間前)

✅ 実施内容

  • 競売情報サイト(981.jp)で物件を探す
  • 裁判所の三点セット(PDF)をダウンロード
  • Googleストリートビューで周辺環境を確認
  • 簡易的なリフォーム費用を算出(ネットの相場を参考)
  • 過去の落札事例を確認(落札率、価格の傾向)

📝 ポイント

特に重要だったのが**「現況調査報告書」の読み込み**。
写真を見ると、浴室にカビがあったり、庭がやや荒れていたりと、「想定より手間がかかりそう」な点も見えてきました。


📦 ステップ2:入札価格の決定(〜入札1週間前)

競売では「いくらで入札するか」がすべてです。
売却基準価額780万円に対して、過去の近隣物件の落札価格は「基準価額の110〜125%」が多い傾向でした。

✅ 今回の戦略

  • 想定リフォーム費用:200万円
  • 自分が出しても良いMAX予算:1,100万円
  • 入札価格として妥当と判断した額:900万円(基準価額の約115%)

競合が多そうな人気エリアだったので、若干強気な価格設定にしました。


✍️ ステップ3:入札書の準備(入札1週間前〜3日前)

実際に裁判所に提出する「入札書」は、以下のような内容で構成されています。

  • 入札金額(漢数字で記入)
  • 住所・氏名・連絡先
  • 住民票
  • 誓約書
  • 入札保証金(原則、売却基準価額の1割)

✅ 今回の想定提出物

  • 入札書:900万円と記入
  • 入札保証金:78万円(事前に供託金として仮想で計上)
  • 提出方法:郵送ではなく、裁判所に持参したと想定(より確実)

🎯 ステップ4:開札日(入札締切の翌日)

開札当日は、実際の裁判所で誰が落札したかが発表されます(非公開の入札制)。
今回のシミュレーションでは、仮に「他に3人が入札」したと仮定し、以下のような結果に。

入札者入札価格
A社850万円
Bさん880万円
900万円 ←最高額で落札!
C社890万円

🟢 無事に落札できた想定!


💰 ステップ5:残代金の支払い(開札から30日以内)

落札後、裁判所から「売却許可決定通知」が届き、30日以内に残代金(入札額−保証金)を支払います。

✅ 支払い内容

  • 落札価格:900万円
  • 入札保証金:78万円
  • 残代金:822万円を振り込み

同時に、登記手続きのための書類準備や、物件の鍵・明け渡しなどの段取りを始めます。


🛠 ステップ6:物件引渡しとリフォーム開始(入札後1.5〜2ヶ月)

今回の物件は占有者なしの空家のため、スムーズに引き渡し完了。
リフォーム業者に事前に見積もりを依頼しておいたため、即工事に入れました。

✅ 想定工事項目と費用

工事内容費用(概算)
クロス・床張替え約50万円
給湯器交換約25万円
外壁塗装約60万円
浴室・キッチン設備更新約70万円
合計約205万円(税込)

🎉 最終結果:トータルコストと満足度

項目費用
落札価格900万円
リフォーム205万円
登記・諸経費約30万円
合計約1,135万円

京都市内の中古戸建てとしては十分リーズナブルな価格で、自分好みの内装にも仕上げられたので満足度は◎!


📝 シミュレーションから学んだこと

  • 競売は「事前準備9割」
  • 相場と費用感をよく把握して、入札価格を戦略的に決めるのが重要
  • 入札書の記入ミスや書類不備は命取りになるので慎重に
  • 落札後の手続きとリフォームの流れも事前に段取りしておくべき

あなたも一度「仮想入札」をやってみてください。
知識と準備があれば、競売は怖くありません。むしろ理想のマイホームを賢く手に入れる手段になります。ただ資金は必要です。購入費用をキャッシュで準備できない人は競売物件は諦めた方が良いです。