まずは「適正価格」を正確に把握する
不動産を高く売りたいという気持ちは当然ですが、「相場以上の価格設定」をしてしまうと、かえって買い手が寄り付かず、長期売れ残りの原因になります。
まずやるべきは、「適正価格(=市場価格)」の把握です。具体的には以下の方法が有効です。
- 近隣の成約事例を調べる(レインズマーケットインフォメーションなど)
- 不動産会社に査定を依頼し、複数社の意見を比較する(お勧め不動産5選参考)
- 国土交通省の「土地総合情報システム」で価格帯を確認する
「査定価格」はあくまで目安ですが、適正価格を把握した上で、1割程度の上乗せを目指すのが現実的な「高く売る戦略」です。
物件の「第一印象」を整える
内覧者の多くは、第一印象で「買うかどうか」を決めると言われています。つまり「見た目」は非常に重要。
★ 室内の清掃・整理整頓は徹底する
家具や荷物が雑然としていると、部屋が狭く見えてしまいます。最低限、以下の点は押さえておきましょう。
- 家具の配置を見直し、空間を広く見せる
- 不要な私物は処分 or 倉庫などに一時保管する
- トイレやキッチンなど水回りは特に念入りに清掃
★ ハウスクリーニングや簡単な修繕も効果大
プロによるハウスクリーニングは費用はかかりますが、見た目の印象を格段に良くしてくれます。また、ドアのきしみや網戸の破れなど、軽微な不具合は事前に直しておくのがベターです。
プロによる「魅力的な写真撮影」
不動産ポータルサイトの掲載写真は、内覧希望者を増やすための最大の武器です。写真のクオリティ次第で、問い合わせ数に何倍もの差が出ることもあります。
最近では、不動産会社によってはプロのカメラマンを手配し、昼間の明るい時間帯に広角レンズで撮影してくれるところもあります。自分で撮る場合も、以下を意識しましょう。
- 窓を開けて明るく撮影
- 不要な物を片付けてスッキリした空間に
- 外観写真は晴れた日に撮る
また、写真に加えて360度パノラマ撮影やVR内見ツールを導入している会社を選ぶのも◎。
「売却理由」をポジティブに伝える
内覧時や問い合わせで必ず聞かれるのが「なぜ売るのか?」という質問。
たとえ理由がネガティブであっても、伝え方を工夫することで買い手に安心感を与え、印象を良くすることができます。
例
- 「転勤が決まったため」
→ 生活環境に問題がないことを示せる - 「子どもが独立して手狭になった」
→ 家族向けには適していると伝えられる
逆に、「近所トラブルがあった」や「地盤に不安がある」といった不安要素は、告知義務の範囲を超えてしまう場合もあるので注意が必要です。
売却戦略は「時期」と「方法」がカギ
不動産売却には「売れやすい時期」と「売り方の選択肢」が存在します。
★ 売れやすい時期は「春」と「秋」
特に3~4月(新生活シーズン)と9~10月(転勤シーズン)は引っ越し需要が高まる時期で、問い合わせが増える傾向にあります。余裕があるなら、この時期に合わせて販売を開始するのがおすすめです。
★ 売却方法を選べば、価格アップも狙える
売却方法は、「買取」と「仲介(媒介)」の2つに分かれます。
「買取」より「仲介(媒介)」の方が市場価格に近い値段で売れることが多く、高値を狙うなら仲介(媒介)を選ぶのが基本です。その仲介(媒介)には3つの契約方法があります。
≪媒介契約の3種類とその特徴≫
★ 専属専任媒介契約(もっとも縛りが強い)
- 【依頼できる会社】1社のみ
- 【自己発見取引(自分で買主を見つける)】できない
- 【業務報告】週1回以上
- 【レインズ登録義務】契約から5日以内
特徴
不動産会社1社にのみ販売活動を任せる、もっとも制限の強い契約。売主が自分で買い手を見つけても、不動産会社を通さないと売れません。
その代わり、不動産会社はより積極的に販売活動を行いやすく、専任担当者が付きやすいのがメリットです。
向いている人
- とにかく信頼できる1社に全て任せたい
- 自分では買主を探す予定がない
- スピーディーに売却したい
★ 専任媒介契約(ほどよいバランス)
- 【依頼できる会社】1社のみ
- 【自己発見取引】可能
- 【業務報告】2週間に1回以上
- 【レインズ登録義務】契約から7日以内
特徴
「専属専任」とよく似ていますが、自分で買い手を見つけた場合は、不動産会社を介さずに直接契約が可能です。営業報告もやや緩やかで、売主の自由度が少し高いのが特徴。
向いている人
- 信頼できる会社があるが、自分でも買主を探す可能性がある
- 柔軟に対応しながら販売したい
★ 一般媒介契約(最も自由度が高い)
- 【依頼できる会社】複数社に依頼できる
- 【自己発見取引】可能
- 【業務報告】義務なし
- 【レインズ登録義務】なし(明示型を除く)
特徴
複数の不動産会社に同時に販売依頼ができ、自分で買主を見つけてもOK。売主にとっては最も自由度が高い契約です。ただし、不動産会社側のモチベーションが下がりやすく、「力を入れて販売しても他社に取られるリスクがある」ため、積極的な営業が期待しにくい傾向があります。
向いている人
- まずは広く情報を出したい
- 時間に余裕があり、売れ残りも気にならない
- 自力での売却(親族・知人など)も視野に入れている
『不動産を高く売りたいならどれを選ぶべき?』
ここが一番気になるところですよね。
結論から言うと、信頼できる不動産会社があるなら、専任媒介契約をおすすめします。
★ 販売活動に“本気度”が出る
専任契約なら、他社に取られる心配がないため、不動産会社は広告・ポータルサイト掲載・顧客紹介などに力を入れやすくなります。
★ 自己発見取引の自由がある
知人や近所の方から直接声がかかった場合、仲介手数料を節約して売却できる可能性も残されています。
★ 報告義務がある
「今どれくらい問い合わせが来ているか」「広告はどこに出しているか」などを定期的に報告してもらえるため、売主としても安心できます。
専属専任・専任・一般…結局どれがいいの?
媒介契約種類 | 売却成功率 | 価格交渉の柔軟さ | 自由度 | 営業活動への期待 |
---|---|---|---|---|
専属専任 | 高め | △ | 低い | 高い |
専任 | 高め | ○ | 普通 | 高い |
一般 | 低め | ◎ | 高い | 低い |
★ 売却価格を最重視したいなら → 専任媒介契約
「価格を高く売りたい」「でも少し自由度も欲しい」なら、専任媒介がベストバランス。
★ とにかく早く売りたい・自分で交渉もしたい → 一般媒介契約
ただし、不動産会社の熱量は下がりやすいので、自己管理が重要になります。
★ 1社にすべて任せて安心したい → 専属専任媒介契約
営業活動を最も強く後押しできる契約。自分で買主を見つけない前提ならこちらも有力です。
※ 契約の仕組みを理解して「売却成功」へ近づこう
媒介契約は、売却の“スタート地点”です。
「どうせ同じ不動産会社に頼むんだから…」と適当に選んでしまうと、
- 思ったより売れない
- なかなか報告が来ない
- 自分で見つけた買主に売れない
といったトラブルにつながることも。
価格だけにとらわれず、「あなたの希望に合った契約形態」を選ぶことが、不動産を高く・納得して売るための第一歩です。
まとめ:ちょっとした工夫と準備が「数十万円の差」になる!
不動産は「商品」です。魅せ方ひとつで印象も価格も大きく変わります。
- 適正価格の把握
- 室内の清掃と印象アップ
- 魅力的な写真の掲載
- 売却理由の伝え方
- 売却時期と戦略の工夫
- 不動産屋への依頼方法

この6つをしっかり意識することで、結果的に「高く・早く」売ることにつながります。とくに空き家を売却する方や、住み替えを検討している方は、準備を怠らずにプロの力もうまく活用し少しでも高く売れるように行動してください。