「50代から大家業を始めるのは遅いのでは?」
そんな不安を抱く方は少なくありません。
確かに20代や30代から始めていれば、長い時間を味方につけて資産形成ができます。しかし、実際には50代からスタートして成功している大家さんも多くいるのです。
では、なぜ成功する人と失敗する人が分かれるのでしょうか?
50代から大家業に挑戦するメリットとリスク、成功する人、失敗する人の共通点について、解説していきます。
はじめに < 古民家1,080万円内覧で見た“現実”
私が初めて、投資用に使えそうな駅近物件を内覧した時の話です。
価格は、1080万円。駅から徒歩5分で、築43年の古民家でした。外観は趣があり、屋根瓦もしっかり残っていて、庭には木々の影が落ちる。写真だけを見れば、貸出しても、転売しても、良さそうな物件でした。
しかし、内覧して5分で“このままだと住めない”と判断しました。水回りは錆びや水漏れの跡だらけ。排水管は古く、上下水道の導管も曖昧な説明しかなかったからです。床は、湿気で土台が傷んでいて、あちらこちらに雨漏りの跡がありました。同行した改修業者からは「ここを直すだけで300万円〜、それ以外にも排水・上下水道・床下整備でさらに費用がかかる可能性が高い」と告げられました。
この家は最近値下げされたばかりで、所有者は、『これ以上の値下げ交渉には応じない!』と仲介業者に言っていたそうです。1080万円で買うか買わないかの判断をするしかない状況でした。
「現実を直視する目」と「数字を逆算する力」が必要です。
古民家 物件状況
項目 | 状態・説明 | 見積もり/提示額 |
---|---|---|
購入価格 | 1,080万円(税別) | 値引きなし |
水回り(キッチン・浴室・トイレ) | 古く、ホースの錆・配管の腐食あり | 約 300万円 かかるとの業者見積もり |
排水・上下水道の接続 | 雨季に溢れる可能性あり。配管が古く、修繕歴不明 | 別途調査要/修繕で+数十〜百万円 |
床下(シロアリ・湿気) | 床のたわみ・湿気が壁際に黒ずみあり、土台の一部腐朽 | 補修+防蟻処理で見積もり増加の可能性大 |
想定利回りの計算方法は、「満室時の年間家賃収入 ÷ 物件の購入価格 × 100」
理想の利回りは、新築8%、中古9〜10%、新築区分マンション4〜5%、中古区分マンション7〜11.5%以上です。
私はその場でシュミレーションし、買わないと決めました。内覧をしていなかったら、購入していたと思います。出回っている情報だけで判断しない!内覧は必ず行う!これが不動産投資を成功させる基本です。
私と同じ、50代から大家業を始めたいあなたに向けて、“成功する人・失敗する人の違い”を、お伝えし、失敗しないための情報を共有したいと思います。
50代から大家業を始めるメリット
⭐️人生経験と判断力
50代になると、仕事や家庭で多くの経験を積んでいます。その経験は、リフォーム業者や不動産会社との交渉、契約内容を読み解く力などに活かせます。若い投資家よりも有利です。
⭐️安定した信用力を持っている
長年の勤務実績や退職金、年金見込みがあることで、金融機関からの信用を得やすいのも50代の強みです。ローン審査では「年収」「勤続年数」「金融資産」などが評価されるため、若手投資家よりも借入のハードルをクリアできます。
⭐️目的が明確になりやすい
「老後資金を作りたい」「相続対策をしたい」など、50代になると目的がはっきりしています。
この目的意識が、ブレない投資判断になります。
50代から大家業を始めるリスク
▲ ローンの返済期間が短い
金融機関は返済年齢の上限を「75〜80歳」に設定します。
そのため50代からローンを組むと、返済期間が20〜25年に短縮され、毎月の返済額が高くなります。返済期間が短いので、毎月の返済は、苦しくなります。
▲ 体力・気力の低下
不動産管理やDIYリフォームは体力が必要です。50代で始めた場合、体力的に厳しく、気力も低下します。
▲ 失敗した場合のリカバリーが難しい
20代・30代なら失敗しても再挑戦できますが、50代では大きな損失を取り戻す時間が限られています。 「成功するための戦略」が必須です。
成功する50代大家の共通点は
1. 小さく始めている
最初から大きなマンション経営を狙うのではなく、戸建てや小規模アパート、空き家再生などからスタートしています。頭金や現金投資を厚くし、借入はできるだけ少なく、 「購入価格+リフォーム費+維持費=総投資額」を逆算し、利回りが取れるかどうかを判断してから始めています。
2. 自分で学び、動く
本やセミナーで知識を学ぶだけでなく、実際に現地に足を運び、物件を見て、環境を調査してから投資しています。不動産業者に任せきりにせず、自分で調べ、内覧して決めているようです。
3. DIYや管理を工夫してコストを下げる
自分でできる範囲の修繕を行っています。クロスの張り替え、簡単な塗装など、できることは自分で行い、できないところをやってくれる、大工・水道業者にネットワークがあります。修繕の削減方法をよく考えています。
3. 出口戦略を決めている
老後に持ち続けるのか、子どもに残すのか、それとも利益が出たら早めに売却するのか、ゴールを設定してから、不動産投資を始めている。
失敗する50代大家の共通点
▲ 勢いで高額物件を買う
大手不動産業者の勧誘に惑わされ、大きなマンションをフルローンで買っています。空室リスクを甘く見積もった為に、返済に苦しんでいます。
▲ 不労所得を夢見すぎる
「不動産投資=放置してもお金が入る」不労収益と思って始めている。
(実際は、管理業務が多く発生し、思い描いた収益は得られない。)
▲ 情報弱者になる
業者の言いなりになって、リフォームや外壁工事を提案され、代金を支払っている。業者に任せっぱなしで、最低限の知識すら身につけない。情報弱者になって損をしている。
成功する不動産投資(大家業)のステップ💪

- 目的を決める
「年金の補填に月20万円」「老後資金2,000万円を作る」など明確にする - 小さく始める
古民家改修、空き家再生からスタート。 - 学ぶ・繋がる
書籍、ブログ、YouTube、大家仲間との交流で知識と仲間を増やす。 - 現地を歩く
現地を歩き、自分の目で地域や物件を確認する。 - 出口戦略を立てる
「いつまで持つか」「どう処分するか」を最初に決めてから物件を探し購入する。

良い物件を見つけるには不動産業者との交渉が大事です。不動産業者は、優良客と交渉しますが、優良客ではない客とは交渉しません。不動産業者は、現金購入する客かローン購入する客かで態度が変わります。
- 不動産業者は 現金購入者=即決できる優良客 と考える
- ローンの場合は「融資が通るかどうか」というリスクがあるので、相手にしない
- その結果、それ以上の物件の詳細説明もなく、別の物件紹介もしてもらえない
「優良客でないうちは、安く良い物件を見つける事も、妥当な金額で買う事も難しいのです。最初の1棟買うのは厳しいですが、粘り強く頑張ってください。2棟目は驚くほど楽に情報が入ってきます。
まとめ
結論50代で不動産投資を始めるのは決して遅くはありません。成功する不動産投資のステップを参考に進めていけば、収益を得られる可能性はあります。まだ本業で収入があるうちに、副業として、投資を始めることは、50代にはBESTな選択なのです。
⭐️ 読者へのアドバイス
「もし、あなたが古民家や空き家投資を始めるなら、現金購入をするか、ローンで購入するのかを早めに決めておきましょう。その上で業者と交渉するのです。その物件が『本当に買う価値があるかどうか』は、業者の交渉態度で分かります。
- 古民家は購入価格だけでなく、リフォーム費用をしっかり見積もることが重要です。(特に水回り、配管、床下などは、専門業者にチェックしてもらうと良いでしょう)
- 物件価格よりもトータルコストで考えること
- 10軒見て1軒当たりが出る、くらいの気持ちで挑むこと
- 先に、ローン審査を受けておきましょう。いくらまでの融資が組めるか、確認しておきます。良い物件はすぐ売れます。これだと思った物件に、投資できる資金繰りをつけておくことが大事です。
⭐️チェックリスト⭐️物件で必ず確認すべき10項目
- 上下水道・排水の状態
- 床下(湿気・シロアリ被害)
- 屋根の葺き替え履歴
- 外壁や基礎のヒビ
- 水回り設備の老朽化
- 電気容量(古い物件は30A以下も多い)
- 近隣環境(空き家率・騒音・治安)
- 市町村の補助金・リフォーム支援制度
- 管理コスト(固定資産税・保険)
- 出口戦略(賃貸か売却か)
☝️「安く買えれば利益が出る」と頭では分かっていても、良い物件は、なかなか出回らないものです。でも探さないと物件は見つけられません。買うと決めたら、毎日物件情報を確認しましょう。昨日にはなかった良い物件を探し当てることができるかもしれません。