「安い物件を買えば、すぐ儲かる」は本当ですか?
不動産投資に興味を持ち始めると、こんな言葉に出会うことがあります。
「200万円で買って、リフォームして月6万円の家賃収入!利回り30%超え!」
……確かに、数字だけ見れば夢のような話です。
でも、宅建士として、そして実際に京都・滋賀エリアで物件を購入してきた投資家として、正直に言わせてください。
「安い物件」には、必ず「安い理由」があります。
その理由を見抜けた人だけが、低価格物件を「宝」にできる。
見抜けなかった人は、「お荷物」を買っただけになってしまいます。
私自身も、最初の物件購入のとき、価格の安さにつられて飛びつきそうになった経験があります。現地調査をして、初めて「これは安くて当然だ」と気づいた瞬間の冷や汗を、今でもよく覚えています。
この記事では、200万円以下の格安物件に挑戦したい方へ向けて、
- 宅建士が必ず確認する5つのチェックポイント
- 京都・滋賀・大阪、どのエリアが狙い目か? 正直な比較
- 補助金・支援制度の活用法
- 今日からできる具体的なアクション
を、包み隠さずお伝えします。
なぜ今、200万円以下の物件が増えているのか
まず現状を整理しましょう。
2023年時点で、日本全国の空き家数は約900万戸にのぼるとされています。この数字は今後もさらに増えていく見通しです。
なぜこれだけ空き家が増えているかというと、
- 人口減少・少子高齢化で「住む人」が減っている
- 相続しても活用できず、放置されている
- 地方・郊外エリアへの人口流入が止まっている
という構造的な問題があるからです。
所有者にとっては「持っているだけで固定資産税がかかる」「管理費が出ていく」という負担になっているため、「安くてもいいから手放したい」という物件が市場に出てきやすい状況になっています。
さらに2026年には京都市で「非居住住宅利活用促進税(いわゆる空き家新税)」が施行される予定で、空き家オーナーにとっての税負担がさらに増す見込みです。これにより、今後も手放す動きが加速する可能性があります。
投資家にとっては、チャンスとも言えるタイミング。
ただし、「安い理由を見抜く目」を持っている人だけが勝てる世界です。
【エリア比較】京都・滋賀・大阪、どこで買うべきか?
格安物件を探すとき、まず「どのエリアを狙うか」が最初の分岐点になります。
私が実際に物件を持ち、現地を歩いてきた経験をもとに、3エリアを正直に比較します。
🏯 京都エリア
ブランド力は最強。ただし「安さ」には要注意
メリット
京都は国内外の観光客が絶えない都市であり、賃貸需要・民泊需要ともに根強いエリアです。特に京都市内の町家・古民家は、リノベーション次第で高付加価値物件に生まれ変わる可能性を持っています。
外国人観光客(インバウンド)の需要も強く、うまく活用できればゲストハウスや民泊として高収益を狙えるエリアでもあります。
また、京都は「大学が多い街」でもあるため、単身者向け賃貸の需要が安定している点も魅力です。
デメリット・注意点
200万円以下で買えるのは、基本的に市街化区域から外れた郊外エリア(丹波、丹後、南山城など)になります。京都市内の物件は200万円以下ではほぼ出てきません。
また、2026年度から施行予定の「非居住住宅利活用促進税」には要注意です。市街化区域内の空き家に固定資産税+αの新税がかかる仕組みで、税負担が現状の約1.5倍になるケースがあります。
京都市内の物件を取得した場合、空き家のまま置いておくのはコスト面で厳しくなります。すぐに賃貸・活用できる前提での購入が必要です。
さらに、京都市内の町家・古民家には「景観条例」があるため、外観の変更に制約が生じることも。リフォームの自由度が下がる可能性があります。
こんな人に向いている
- 古民家・町家のリノベーションに興味がある
- 民泊・ゲストハウス経営を視野に入れている
- 郊外エリアで自分で住みながら投資したい
🌊 滋賀エリア
私が実際に選んだエリア。コスパ最強の穴場
メリット
私自身が最初に物件を購入したのが滋賀です。正直に言うと、最初は「京都や大阪の方がいいのでは?」と迷いました。でも実際に動いてみて、滋賀の良さを実感しています。
まず、価格が安い割に、交通利便性が高いのが最大の強みです。
JR琵琶湖線・草津線・湖西線沿線であれば、京都駅まで20〜30分圏内の物件でも、価格は大阪・京都の半額以下になることがあります。「京都まで通える滋賀の物件」は、ベッドタウンとして賃貸需要が安定しています。
また、滋賀県・各市町村ともに空き家・リフォームの補助金制度が充実しています。例えば大津市では、市外から転入して空き家をリフォームする場合に補助金が出る「定住促進リフォーム補助金」が用意されています。国の「みらいエコ住宅2026事業」も活用すれば、リフォーム費用を大きく圧縮できます。
さらに、滋賀県は既存住宅のインスペクション(状況調査)に補助金が出るため、物件購入前の状態確認にかかるコストを抑えられます。これは投資初心者にとって非常にありがたい制度です。
デメリット・注意点
滋賀県内でも、湖北エリア(長浜・高島の一部)や山間部は、賃貸需要が薄いエリアがあります。安さに引っ張られて駅から遠い・バスもない場所を買うと、借り手がつかないリスクがあります。
自動車がないと生活できないエリアの物件は、「誰に貸すか」を明確にしてから購入判断をする必要があります。
こんな人に向いている
- 初めての投資物件を探している
- 京都・大阪へのアクセスを保ちつつコストを抑えたい
- 補助金を活用してリフォームコストを下げたい
- DIYが好きで、自分で手を入れる余地がある物件を探している
🏙️ 大阪エリア
200万円以下は「ほぼ存在しない」
メリット
大阪は関西最大の商業都市であり、賃貸需要・人口流入ともに関西随一のエリアです。物件を買えば借り手に困ることは少なく、出口戦略(売却)も取りやすい市場です。
デメリット・注意点
正直に言います。大阪市内で200万円以下の物件は、ほぼありません。
大阪市内の中古物件は、築古・狭小・再建築不可物件であっても、500万円〜1,000万円超が一般的な価格帯です。
仮に200万円以下で出ている物件があった場合、「再建築不可」「接道義務違反」「擁壁問題」など、何らかの重大な問題を抱えているケースがほとんどです。安さには必ず理由があり、その理由が致命的なことが多いのです。
大阪府内でも、泉州・河内エリアなど郊外に行けば格安物件が出ることはあります。ただし大阪市内への通勤需要が薄いエリアでは、賃貸付けも難しくなります。
こんな人に向いている
- 予算500万円以上用意できる
- 中古マンション・区分所有物件も視野に入れている
- 賃貸需要の高いエリアでの安定収益を優先したい
エリア比較まとめ
| 京都 | 滋賀 | 大阪 | |
|---|---|---|---|
| 200万円以下物件 | 郊外なら可 | 可(市街地も) | ほぼ困難 |
| 賃貸需要 | 高い(市内)〜低い(山間部) | 沿線は安定 | 高い |
| 補助金制度 | 市町村によりあり | 充実している | あるが少ない |
| 新税リスク | 京都市内は要注意 | 現状なし | 現状なし |
| 初心者向き | △ | ◎ | △ |
宅建士が必ずチェックする5つのポイント
エリアを絞り込んだら、次は物件の中身を見る番です。
格安物件には「買ってはいけない物件」が混じっています。以下の5つを必ずチェックしてください。
チェックポイント①:再建築可能か?
これが最重要です。
「再建築不可物件」とは、建て替えができない物件のことです。接道義務(幅4m以上の道路に2m以上接していること)を満たしていない場合、現在の建物が使えなくなったとき、新しく建て直すことができません。
再建築不可物件は安い理由が明確で、価格が安くても売却時に大きく値下がりするリスクがあります。融資も受けにくく、出口戦略が非常に限られます。
確認方法: 重要事項説明書の「接道」欄を確認。または市役所の都市計画課で道路の種別を確認できます。
チェックポイント②:建物の傾き・基礎の状態
格安物件でリフォーム費用が予想外に膨らむ最大の原因がこれです。
床が傾いている場合、「床の造作で対応できるレベル」なのか、「基礎のジャッキアップが必要なレベル」なのかで、費用が数十万円〜数百万円変わります。
内見時には、ビー玉やスマホの水準器アプリを持参して、床の傾きを確認しましょう。見た目がきれいな物件でも、傾きが大きい場合は注意が必要です。
私が内見した物件で、きれいにクロスを貼り直してあったのに、床を確認したら2〜3度傾いていたケースがありました。表面を整えているからこそ、注意が必要なのです。
確認方法: 内見時に水準器を持参。気になる物件はインスペクション(住宅診断)を依頼する(滋賀県は補助金あり)。
チェックポイント③:水回りの状態と配管の年数
リフォーム費用の中で、最もお金がかかるのが**水回り(キッチン・浴室・トイレ・配管)**です。
古い物件では、配管が鉄管のままになっているケースがあります。鉄管は経年劣化でサビが出て、水質問題・水漏れ・圧力低下を引き起こします。全面的な配管の取り替えが必要になると、100万円単位のコストが発生することも。
また、古い電気配線は容量が足りず、エアコンや IH クッキングヒーターが使えないケースもあります。電気容量のアップ(200V対応への変更など)も費用がかかります。
確認方法: 水道の元栓を開けて水圧を確認。配管の素材(塩ビ管か鉄管か)を確認。分電盤のアンペア数を確認する。
チェックポイント④:土地の権利関係と境界
格安物件には、「土地の境界が確定していない」「隣地との越境がある」「私道に接している」といった問題を抱えている物件が少なくありません。
境界が確定していないと、将来売却しようとしたときに隣地との合意形成が必要になり、売却のスケジュールが大きく遅れる原因になります。
特に注意したいのが「私道負担」です。物件へのアクセスが私道を通る場合、その私道の持ち分を確認する必要があります。私道の通行権が確保されているか、道路の維持管理費用はどう分担するかを事前に確認しておかないと、後々のトラブルにつながります。
確認方法: 登記簿謄本(全部事項証明書)で土地の地番・面積を確認。法務局で公図を確認。現地で境界杭の有無を確認する。
チェックポイント⑤:「なぜ安いのか」を必ず確認する
これは宅建士として最も強調したいポイントです。
売主が「安く手放したい」のには必ず理由があります。主なものとしては、
- 相続した物件で維持費が負担になっている(→比較的クリアな問題)
- 隣地とのトラブルがある(→要注意)
- 事故物件(死亡・火災など)(→告知義務あり、必ず確認)
- 土壌汚染・地盤沈下の懸念がある(→深刻なリスク)
- 再建築不可・接道問題がある(→前述)
宅建士は重要事項説明で「告知義務のある事実」を説明しなければなりませんが、告知されていない問題が潜んでいるケースもゼロではありません。
不明点は必ず「なぜこの価格なのか」を仲介業者に聞いてください。納得できる説明がなければ、購入を保留する勇気を持つことが大切です。
補助金・支援制度を使い倒す
格安物件を購入した後のリフォームには、国・自治体の補助金制度を積極的に活用しましょう。
国の補助金
みらいエコ住宅2026事業(国土交通省)
省エネリフォーム(断熱・窓・給湯器等)を対象にした補助金。2026年も継続中。リフォーム事業者が申請することが多いので、工務店に相談するのが第一歩です。
滋賀県・各市の補助金
既存住宅インスペクション補助(滋賀県)
物件購入前の住宅診断費用の一部を補助。事前の状態確認に活用できます。
大津市定住促進リフォーム補助金
市外から転入して空き家をリフォームする場合に補助金が出ます。子育て世代への拡充も2024年から行われています。
京都府の補助金
市町村によって異なりますが、移住促進特別区域に指定されているエリア(福知山・舞鶴・綾部など)では、リフォーム補助が充実しています。
ポイント:補助金は「工事前の申請」が必須です。工事を始めてから申請しても受け付けてもらえないことがほとんど。まず自治体に確認してから動くこと。
具体的アクション:今日からできること
✅ まず「空き家バンク」で3エリアを比較してみる
アットホーム空き家バンク・LIFULL HOME’S空き家バンク・各自治体の空き家バンクで、京都・滋賀・大阪の物件を横断的に検索してみましょう。価格帯・エリア・物件状態の「肌感覚」をつかむだけでも大きな前進です。
✅ 気になる物件には必ず現地に行く
写真・図面だけでは絶対にわかりません。物件の周辺環境・道路状況・隣地との関係は、現地に行って初めて見えてくることがほとんどです。
✅ 内見時に「5つのチェックポイント」を確認する
水準器・懐中電灯・スニーカー(床下・屋根裏まで確認するため)を持参して内見しましょう。チェックリストを紙に書いて持っていくと、見落としが減ります。
✅ インスペクションを1件だけ依頼してみる
「買うかどうか決めてから」ではなく、「気になる物件が出てきたら早めに」が正解です。滋賀県では補助金も出るので、費用を抑えながら専門家の目で状態を把握できます。
✅ 補助金の申請タイミングを先に確認する
「工事前に申請」が大原則。気に入った物件が見つかったら、購入前に自治体の担当窓口に「どんな補助金が使えるか」を問い合わせましょう。
まとめ:「安い物件」は、正しい知識を持った人だけの武器になる
200万円以下の格安物件は、確かに存在します。そして、正しく選べば、高い利回りを生む投資物件になり得ます。
ただし、安さに飛びついて「後からこんなはずじゃなかった」となる人も後を絶ちません。
私自身、物件購入前に宅建士として徹底的に調査するようになってから、「危ない物件をつかまずに済んだ」経験が何度もあります。逆に言えば、知識がなければ気づかなかったリスクがたくさんあったということでもあります。
3エリアを正直に比べると、初めての格安物件投資なら滋賀がもっともバランスが良いと私は考えています。補助金が充実していて、京都・大阪へのアクセスが保てる沿線物件を選べば、賃貸需要も期待できます。
大切なのは、「安いから買う」ではなく、「なぜ安いのかを理解した上で買う」こと。
その一歩を踏み出すために、今日できることから始めてみてください。
「物件の見方がわからない」「どのエリアが自分に向いているか相談したい」という方へ。
宅建士・キャサリンが個別にお答えします。
この記事を書いた人:キャサリン
宅地建物取引士(登録番号:第009673号)/賃貸住宅管理業務管理者
滋賀・京都エリアで空き家投資を実践中。DIYも得意。実体験と専門知識をもとに、正直な情報だけを発信しています。

