築60年の古民家に住み始めて、もうすぐ10年。風情はあるけれど、あちこち手を入れないと快適とは言えない。とくに気になっていたのが、14畳の和室リビング。土壁はやせて柱との間に隙間が空いている。風が入って冬は凍えそうになったので、透明ビニールを壁一面に貼ってる。どうにも見栄えが悪い。
「この部屋、リフォームしよう」
そう思い立って、近くの工務店に見積もりをお願いしたところ――
「80万円になります」
えっ、た、高い……!天井と壁だけでこの金額は高過ぎるよ
予算の都合もあり、プロに任せるのは断念。とはいえ、このまま放置するのもイヤ。ならば、自分でやってみよう。ちょうど大工見習いをしている友人が、「手伝うよ」と言ってくれた。
その言葉に背中を押され、DIYリフォームの決意を固めた。
「2人なら、できる!きっと・・」

まずは、問題の土壁対策。壁の隙間を埋めるには普通ベニヤ板貼って壁紙で仕上げるところだけど、古民家ゆえに、上下の長さが微妙に違うから調整が難しそう。ベニア板運ぶのも大変だ・・・
「土壁を補強しつつ、白く塗れるものないかな…」
そう思いながらホームセンターをうろついていたら、目に飛び込んできたのが「MORU MORU(モルモル)」という壁材。14kgで9800円。手で塗れる!というコピーにも惹かれた。

調べてみると、塗るだけで下地補強と仕上げが一体化できるらしい。白くてナチュラルな質感も良さそう。
「これ、いけるかも」
即決で購入。あと白ペンキと刷毛、ヘラ、工具も購入。大工見習の江ちゃんの来れる日を聞いて日程を組む。明後日から始める。ガンバロー!
【DAY1】壁の下準備で格闘
まず取りかかったのは、ビニールを留めているテープを剥がす。テープは水に弱いので、MORUMORUを使うと剥がれる恐れがあるから、できるだけ取る。取ったらタッカーで固定する。取れきれないテープ部分はパテで埋める。次はマスキングテープを貼る。塗りたくない部分、コンセントやスイッチ、窓枠、天井の縁など、細かく丁寧にマスキングテープを貼っていく。地味な作業だけれど、これを怠ると仕上がりに大きく響く。途中で気が緩みそうになるけれど、ここはしっかり貼らないと!

大きな穴や隙間は補強材で埋める。全体をよーく見ながら、穴を先に塞いでいく。結構大変。
次に、床一面にビニールシートを敷いた。塗料が垂れることも想定して、重ねてテープで固定。フローリングにしてある床を絶対に汚したくないから、ズレないようしっかり貼り付ける。
【DAY2】いよいよMORU MORU登場!塗っていく!
「MORU MORU」開けると、中には手袋が入っている。手袋はめて、いざ手塗り開始!
私は北側窓枠ありの壁面、江ちゃんは天井高266cmの北西壁面を塗っていく。
私の塗り方は本当に「手で塗る」スタイル、ビニール手袋をして直接塗ってみた。MORU MORUは粘土のような柔らかさで、少しずつ伸ばしていく感覚が面白い。凹凸のある壁面にもよく密着して、少こーしボコボコになっても、それがかえって味になる。まるで珪藻土のようなナチュラルな質感が出るのが気に入った。
最初は、なかなか均一に塗れなかったけれど、慣れてくると力加減や塗るペースが掴めてくる。恐る恐る塗ってたのが、だんだん速く塗れるようになってくる。感触が気持ちよくて、どんどん夢中になって、休憩も忘れて塗っていた。手で塗るからこそ、壁にもしっかり馴染む。仕上がりも、白くてラフで味わいがあって、いいと思う。まさに古民家にぴったり。
「これ、めっちゃ楽しいやん…!」
江ちゃんは大工見習いだけあって、コテやヘラで塗っている。しかも早い。トントンとMORU MORUを壁に乗せスースーと伸ばす・・軽やかや トントンと置いてスースー塗る・・リズミカル・・見惚れててもいけないので私も手で塗っていく。
二人で、1日で北側、壁一面を塗り終えた。塗ムラは乾くとあじになるって江ちゃんが言っていた。あと南側の側面だけだから、明日は一人でもできる、江ちゃんなしで、壁面は全部塗ってしまおう!
でも天井尾は手伝ってね 江ちゃん♪( ´θ`)ノ
壁のDIYの費用は?
・MORU MORU(14kg×2缶):19,600円
・塗料(白)×2缶):5,960円
・ローラーセット:2,452円
・養生テープ:2,798円
・コテ:1,996円
・刷毛類:2,168円
・ブルーシート:3,980円
・巾木:3,468円
・セメンダイ:5,148円
合計:47,570円
次回予告:天井、引き戸の塗装と照明リフォーム
長年ぶら下がっていた蛍光灯を撤去し、天井を補強しながら真っ白に塗り上げる。そして、完成後にはファン付きの照明にチェンジする予定。さらに、引き戸も白く塗り、部屋全体を一体感ある明るい空間へと仕上げていく。
第二話も、どうぞお楽しみに!