「家賃が上がった」「ローン審査が厳しくなった」2026年、家を買うべきか・賃貸を続けるべきか。宅建士が正直に答えます。

2026年家を買うべきか 不動産投資始め方・ローン

「更新のたびに家賃が上がる。でも今から家を買えるのか…」

「先月、大家さんから更新時に家賃を1万円値上げすると言われた。断れるの?」

「家を買いたいけど、ローン審査が厳しくなったと聞いて不安」

「20代の友人が焦って家を買っていく。自分も急いだ方がいいの?」

こういった声が、2026年5月の今、急増しています。

実際、SNSでは「家賃値上げ」「更新料」「ローン審査 落ちた」といったワードが続々と検索されるようになっています。

物価高騰・金利上昇・審査厳格化という三重苦の中で、「賃貸を続けるべきか、今すぐ家を買うべきか」という問いに、誰もが答えを求めています。

でも「どちらが正解か」は、あなたの状況によって全く違いますから、「焦り」で判断しないことが大事です。


今、何が起きているのか

2026年5月の不動産市場のリアル

① 家賃値上げが全国で相次いでいる

物価高騰を背景に、賃貸更新時の家賃値上げ通告が相次ぎ、SNS等で悲鳴が上がっています。

特に都市部では、オーナー側の固定資産税・修繕費・管理コストが上昇しており、「これ以上値上げしないと運営できない」という大家さんが増えています。

私自身も大家として、修繕費の高騰を実感しています。業者に見積もりを取るたびに「以前より3割以上高い」という現実があります。家賃を据え置き続けることが難しくなっているのは正直なところです。

ただし、家賃値上げを「断れないもの」と思っている方へ──

普通借家契約では、家賃値上げを断っても即退去にはなりません。借地借家法により、合意に至らなくても従前の家賃を払い続ければ住み続けられます。「値上げに応じなければ退去してもらう」と言われても、法的にはできません。

まずは冷静に、「値上げ幅が周辺相場と比べて妥当かどうか」を確認することが大切です。

② 住宅ローン審査が厳格化された

2026年から、住宅ローンの審査基準が大きく変わりました。

これまでは「年収の何倍まで借りられるか」という「年収倍率」が主な基準でした。しかし新たな基準では、「毎月いくら手元に残るか」という「家計余力」が重視されるようになっています。

この変更により、借入可能額が約15〜20%減少するという試算が出ています。例えば、これまで4,000万円借りられた人が、新基準では3,200〜3,400万円しか借りられなくなります。

さらに、審査金利の上昇により、実際の返済負担額が大きくなります。融資承認率も低下して、購入希望者の4人に1人が融資を受けられなくなるという試算も出ています。

③ 20代の「焦り買い」が過去最高に

住宅価格の高騰が続いた結果、20代(2人以上世帯)の持ち家率が過去最高を記録しました。「今買わないともっと上がる」という早期取得への焦りが背景にあります。東京都内では約6,000万円の中古マンションを共働き夫婦が購入する事例も見られ、50年返済などの超長期ローンを利用する若年層も急増しています。

「みんなが買っているから、自分も急がなければ」という心理は理解できますが

「焦り」は不動産購入で最も危険な感情です。


「今すぐ買う」べき人、「賃貸を続ける」べき人

では実際に、どういう状況の人が「買う」べきで、どういう人が「賃貸を続ける」べきなのでしょうか。

「今すぐ買う」を検討していい人

✅ 頭金が購入価格の20%以上用意できる

借入額を抑えられるため、金利上昇の影響を受けにくく、審査も通りやすい状況です。

✅ 「金利が1%上がっても返せる」と計算できる

現在の返済額だけでなく、金利が上昇した場合の返済額を試算した上で「無理なく返せる」と確認できている方は、今の市場でも購入を検討できます。

✅ 長期(10年以上)住み続ける予定がある

転勤・転職・ライフスタイルの変化が少なく、同じ場所に10年以上住む見込みがある場合は、賃貸より総支出額が小さくなるので比較検討してもいいでしょう。

✅ 家族構成が安定している

子どもの人数・学校区・介護の問題など、住む場所に関する条件がある程度固まっている場合は、腰を据えて購入を検討できます。


「賃貸を続ける」方が向いている人

⚠️ 頭金がほとんどない状態でフルローンを検討している

頭金なし・フルローンでの購入は、金利上昇局面では特にリスクが高い。毎月の返済額が増えるだけでなく、物件価値が下がった場合に「売りたくても売れない」状況になることがあります。

⚠️ 転職・転勤・結婚・出産など、ライフイベントが近い

住む場所や家族構成が変わる可能性が高い時期は、動けなくなるリスクがある不動産購入は、やめましょう。

⚠️ 「家賃がもったいない」という理由だけで買おうとしている

「賃貸は捨て金」「持ち家の方が得」という言説がありますが、これは状況次第です。購入にも固定資産税・修繕費・管理費といったランニングコストがかかります。総コストを比較した上で判断することが大切です。

⚠️ 職場・収入が不安定

ローンは20〜35年にわたる長期契約です。収入が安定していない状況での多額の借入は、生活全体のリスクになります。


「家賃値上げを断ったら退去させられる?」

──よくある誤解を解説

家賃値上げの通知が来たとき、多くの方が「断ったら追い出されるのでは」と不安になります。

結論から言うと、値上げを断っても、即退去にはなりません。

借地借家法第32条により、賃料増減額の請求は当事者双方に認められていますが、合意がなければ従前の賃料で契約が継続します。

ただし、以下の点には注意が必要です。

値上げが「正当」かどうかを確認する

大家さんが値上げを請求できる正当な理由としては、近隣の賃料相場が上がっている・固定資産税が増えた・経済事情が変わった、などがあります。周辺の同条件物件の家賃を調べて、値上げ幅が相場の範囲内かどうかを確認しましょう。

交渉の余地は常にある

「値上げ幅を半分にしてほしい」「今年は据え置きにしてほしい」という交渉は、していいです。大家さんも空室になるよりは入居者に継続してもらいたいケースが多いので、丁寧に交渉することで折り合いがつくことがあります。

それでも折り合わない場合は?

合意できない場合、最終的には裁判所の判断を求めることになりますが、実際にそこまで発展するケースは少ないです。

万が一、交渉が決裂した場合は、引っ越しを検討する方が良いでしょう。


「今が買い時か」という問いの前に、考えるべき問いがある

メディアやSNSで「今が買い時」「いや今は待て」という意見が飛び交っています。

「今が買い時かどうか?」という問いの前に、「自分にとって今が買い時かどうか?」を考えるべきです。

市場全体の話と、あなた個人の話は、切り離して考えなければなりません。

市場全体が「割高」であっても、頭金が十分にあり・収入が安定していて・長期間住む予定があるなら、あなたにとっては「今が最適なタイミング」である。逆に、市場が「割安」であっても、頭金不足・収入不安定・ライフイベント直前であれば、あなたにとって「今は待つべき」となります。

大切なのは「市場のタイミング」ではなく自分のタイミングです。

では、なぜ多くの人が「自分のタイミング」を見失ってしまうのか。その理由が3つあります。

落とし穴①

「みんなが買っている」という同調圧力

20代の持ち家率が過去最高になり、SNSでは「家を買った」という報告が増えています。その中にいると「自分も急がないと乗り遅れる」という感覚が生まれます。

でも、隣の人が「6,000万円の家を買った」ことが、あなたにとっての正解ではありません。その人の年収・貯蓄・家族構成・勤務先の安定性が、あなたと同じとは限らないのです。

他人の選択に引っ張られて「焦り買い」をした結果、10年後に後悔する方を、宅建士として何人も見てきました。


落とし穴②

「賃貸はもったいない」という思い込み

「毎月家賃を払い続けても、何も手元に残らない」「自分のものにならない」という考え方が根強くあります。

確かに、長期的に見ると持ち家の方がコスト面で有利になるケースはあります。ただし、それは「適正な価格で・適切なローンで・長期間住み続けた場合」に限った話です。

購入価格が高すぎた・金利が大きく上昇した・10年以内に売らざるを得なくなったという場合は、賃貸の方がトータルコストが低くなることもあります。

「賃貸=もったいない」という固定観念を一度手放して、自分の具体的な数字で考えることが大切です。


落とし穴③

「今の低い家賃がずっと続く」という油断賃貸でいい」と思っている方にも落とし穴があります。

今の家賃が「据え置き」のまま何年も住み続けられる保証はありません。

更新のたびに値上げを提示されるケースが増えている今、「賃貸でいれば安心」という考え方も見直す必要があります。

賃貸を続けるにしても、「いつでも引っ越せる準備」「家賃値上げへの交渉力」を持っておくことが、これからの時代には重要です。


具体的アクション

今日からできること

「自分が今買えるかどうか」を数字で確認する

手元の頭金・月収・固定費を書き出し、「無理なく返せる借入額」を計算してみましょう。銀行の無料ローンシミュレーターで5分でできます。「なんとなく払えそう」ではなく、数字で確認することが第一歩です。

周辺の家賃相場を調べる

値上げを通知された方は、SUUMOやHOME’Sで同エリア・同条件の物件を検索し、現在の家賃と比較しましょう。相場より高い値上げ幅なら、交渉の根拠になります。

「5年後の自分」を想像してみる

5年後、あなたの仕事・家族構成・住む場所はどうなっていそうですか?「変化が多そう」なら賃貸継続、「安定している」なら購入検討というシンプルな判断軸が使えます。

「賃貸 vs 購入」を自分の数字で計算してみる

「なんとなく持ち家の方が得そう」「賃貸の方が気楽そう」ではなく、実際の数字で比較してみましょう。

例えば、京都市伏見区・滋賀草津エリアの現実的なケースで試算するとこうなります。

【ケースA】草津駅近くの中古戸建てを購入する場合

  • 購入価格:2,500万円
  • 頭金:500万円、借入:2,000万円(金利1.5%・35年)
  • 月々の返済額:約61,000円
  • 固定資産税:年間約10万円(月換算約8,000円)
  • 修繕積立(目安):月10,000円
  • 月の実質負担:約79,000円
  • 10年間の総支出:約950万円(元本返済分を除く)

【ケースB】同エリアで賃貸を続ける場合

  • 現在の家賃:月6万円
  • 2年ごとに3,000円値上げ(現在の傾向)を想定
  • 更新料:2年ごとに家賃1ヶ月分
  • 10年間の総支出:約780〜820万円

一見すると賃貸の方が安く見えます。しかし——

購入の場合、10年後に2,000万円の物件が1,500万円で売れれば、実質負担は約450万円になります。一方、賃貸は10年間で払い続けた800万円は手元に残りません。

つまり「どちらが得か」は、10年後に物件をいくらで売れるか・金利がどこまで上がるか・いつまで住むかによって変わります。

このシミュレーションを、ご自身の数字に置き換えてやってみてください。「なんとなく」が「具体的な判断」に変わります。

家賃値上げを通知されたら「周辺相場」をすぐ調べる

SUUMOやHOME’Sで「同エリア・同間取り・同築年数」の物件を5件検索して、現在の家賃と比べてみましょう。相場より高い値上げ幅であれば、「近隣相場はこのくらいです」と数字を示して交渉できます。感情ではなく、データで交渉するのが最も効果的です。

「今の家賃+引越し費用+敷金礼金」を計算してから動く

「家賃が上がるなら引越した方がいい」と思っても、新しい物件の敷金礼金・引越し費用・新生活準備費用を合計すると50〜80万円かかることが多いです。「値上げ分を払い続けた場合」と「今すぐ引越した場合」どちらがコストが低いか、先に計算してから判断しましょう。


まとめ

「焦り」ではなく「自分の数字」で判断する

2026年の不動産市場は、家賃値上げ・ローン審査厳格化・金利上昇という変化が重なり、「どうすればいいか分からない」という方が増えています。

でも、正解は一つではありません。

あなたの収入・貯蓄・ライフステージ・家族の状況によって、「今買う」も「しばらく賃貸」も、どちらも正解になり得ます。

大切なのは、メディアやSNSの「空気」に流されず、自分の数字と状況を冷静に見ること。

宅建士として、大家として、そして自分自身も50代から不動産と向き合ってきた一人として、「焦らず・数字で・自分のペースで」を伝え続けたいと思います。


「自分の場合、買うべきか借り続けるべきか、具体的に相談したい」という方へ。

👉 相談はこちら


この記事を書いた人:キャサリン
宅地建物取引士(登録番号:第009673号)/賃貸住宅管理業務管理者
京都・滋賀エリアで大家業・空き家投資を実践中。50代から宅建士資格を取得。「知っている人が得をする」不動産の世界で、正直な情報を発信しています。